研究課題/領域番号 |
07640483
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
小山 晋之 徳島大学, 総合科学部, 助教授 (40170394)
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研究分担者 |
斉藤 隆仁 徳島大学, 総合科学部, 助手 (60201505)
水野 清 徳島大学, 総合科学部, 教授 (40087094)
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キーワード | 酸化物超伝導体 / (123)相 / Prによる超伝導抑制効果 / 希土類イオンのサイズ効果 / 酸素濃度依存性 |
研究概要 |
1.Prとイオンサイズに差のほとんどないNd系(123)相の場合には、Prによる超伝導抑制効果が他の希土類系(123)相の場合に較べて最も強く現われ、しかも酸素濃度にも依存していないことが明らかとなった。この系ではPr本来の抑制効果(PrとOの混成によるホールのトラップ効果)のみが現われていると考えられる。 2.これに対して、その他の希土類系(123)相においては、希土類イオンとPrのイオンサイズの差が大きくなる(希土類のイオンサイズが小さくなる)とPrによる超伝導抑制効果が弱められ、酸素濃度の減少に伴ってさらに弱められることが明らかとなった。また、Pr置換量が高濃度になると抑制効果が強くなり、Nd系(123)相で見られる本来の抑制効果の強さに一致することも分かった。 3.(123)相においては、酸素濃度の低下と共に超伝導転移温度(Tc)はオルソII(いわゆる60K相)を経て低下していくが、希土類イオンのサイズが大きくなる(Prに近付く)と超伝導を示す酸素濃度範囲が狭くなり、オルソIIの領域も狭くなりはっきりしなくなることが知られている。 4.上記のすべての結果は、Nd以外の希土類の場合、Pr置換に伴ってCuO鎖のホールがCuO_2面へ移動し、PrとOとの軌道混成によるホールのトラップ効果を緩和しているというモデルで説明することができる。その起因となったのは局所的な構造歪みと考えられる。小さな希土類イオンを大きなPrで置換した場合、結晶格子(特にCuO鎖の上下の酸素つまり頂点酸素の位置)に局所的な歪みが生じ、ホールのバランスが崩れCuO_2面内にホールが流れ込んだと考えられる。このホールの移動は、酸素の減少に伴ってCuO_2面からCuO鎖へホールが移動しTcが低下する効果とちょうど逆の効果であり、高濃度の置換でホールの移動量が飽和するため本来の抑制効果が現われてくると考えられる。
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