研究概要 |
超伝導多層膜Nb/Cuにおいて、Nb及びCu層の超伝導状態について調べるためNb,Cu NMRによる研究を低温で行った。すなわち^3He冷凍機、^3He-^4He希釈冷凍機を用い低温を発生し、NMRについては磁場循環法を用いることにより零磁場における核スピン格子緩和時間(T_1)の測定し、それぞれの層における超伝導準粒子の励起スペクトルについて研究した。その結果、多層膜全体では単一の超伝導転移温度(T_C)をもっているにも関らず、一例としてNb=400Å,Cu=400Åの膜の場合、Nb層で3.5k_BT_C、Cu層で2.4k_BT_Cと各層において大きさの異なる超伝導エネルギーギャップが存在する事が分かった。またCu層では低温で指数関数的な温度変化からのずれが大きく、ほぼ温度に比例した温度変化が観測されている。この振る舞いは常伝導層に残留した常伝導的な状態密度の存在を仮定し説明することが出来る。Nb/Cu層の膜厚を変化させ、T_1の系統的な変化を測定中である。現在精度をあげ測定中であるが、特徴はNb膜では膜厚依存性が少なくTcでほぼ規格化(2Δ=3.5k_BT_C)されるが、Cu膜では大きな膜厚依存性が観測されている。
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