研究概要 |
超伝導多層膜Nb/Cuにおいて、Nb/Cu各層の超伝導状態について調べるため^<93>Nb,^<63>CuNMRによる研究を低温で行った。すなわち^3He冷凍機、^3He-^4He希釈冷凍機をもちい低温を発生し、かつ磁場循環法NMRを用いることにより、零磁場における、核スピン格子緩和時間(T_1)の測定を行い、各層の超伝導準粒子の励起スペクトルを求めた。その結果、多層膜全体では、単一の超伝導転移温度(Tc)をもっているにも関わらず、Nb層の方が大きな超伝導エネルギーギャップを持つことが分かる。一例として、Nb=400Å、Cu=400Åの膜の場合、Nb層で2δ=3.5kBTc, Cu層で2δ=2.4kBTcと、大きさの異なる超伝導エネルギーギャップが存在する。膜厚を変化させても、Nb層のエネルギーギャップの大きさは弱結合から期待される結果に近い値を保つ。Cu層では低温で指数関数的な温度変化からのずれが存在し、ほぼ温度に比例した温度変化が観測されている。Cu層での振る舞いは常伝導層に残留した状態密度の存在を仮定して説明することができる。その量はNb/CuのCu層を厚くすれば、多くなる。
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