研究課題/領域番号 |
07640502
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松石 清人 筑波大学, 物理工学系, 講師 (10202318)
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研究分担者 |
新井 敏弘 石巻専修大学, 理工学部, 教授 (10015745)
大成 誠之助 筑波大学, 物理工学系, 教授 (70015824)
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キーワード | カルコゲナイド系非晶質半導体 / ガラス転移 / 比熱 / 階層構造 / 協力現象 |
研究概要 |
非晶質半導体As_2S_3及びSeにおいて、示差走査型熱量計(DSC)によってガラス転移近傍での比熱を測定し、その比熱曲線に拡張指数型緩和関数を用いたMoynihanモデルを適用することによってガラス転移のカイネティック定数を求めた。非常に興味ある結果として、アニーリングによるフィクティブ温度の低下に伴って構造緩和の非指数性は線形的に増大することを見出した。この結果を我々はスピングラス転移に適用される超計量空間モデルを用いることによって首尾良く説明し、準安定状態の階層的エネルギーバリア分布(階層的拘束)がガラス転移点近傍での構造緩和を理解する上で重要であることを見出した。また、As_2S_3にAgを添加することによってネットワーク構造を2次元から3次元へ、SeにAsを添加することによって1次元から2次元へ変化させた試料を作成して、同様に比熱解析を行った。その結果、構造緩和の非指数性は構造のネットワーク次元や異方性、つまり幾何的拘束と密接な相関があることを見出した。また、フリーボリューム理論の考えに基づいて、昇温過程下でのフリーボリュームの成長次元をDSCの結果から求め、ガラス転移における構造緩和の次元性と非指数性の相関関係を定量的に考察した。これらにおいては、(GeS_2)_<1-X>(Sb_2S_3)_Xの結晶ガラス(X≦0.33)においても同様の結論が得られた。さらに、非晶質半導体Seを規則的細孔構造を持つゼオライトに埋め込み、そのガラス転移温度が細孔径の減少に伴って上昇することを見出した。一方、ガラス転移の活性化エネルギーは細孔径の減少に伴って減少した。これらガラス転移のサイズ効果(外因的幾何拘束を課した場合)における予備的結果は、ガラス転移の動力学を解明する上で注目できる。
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