研究課題/領域番号 |
07640520
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
小野 嘉之 東邦大学, 理学部, 教授 (30011761)
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研究分担者 |
大槻 東己 上智大学, 理工学部, 助教授 (50201976)
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キーワード | 準位統計 / ガウスユニタリー集団 / 準位反発 / アンダーソン局在 / ガウスシンプレクティック集団 / 準位間隔 / 二準位相関 / 準位分布の剛性度 |
研究概要 |
1.昨年度の研究を更に進めて、時間反転対称性が破れている二次元不規則電子系の典型例である量子ホール系における準位統計の解析を続けたが、特に不規則ポテンシャルの相関距離が長い極限でユニバーサルでないスケーリング則が見られ、臨界領域の幅が狭くなる効果を如何に取り入れるかが今後の課題となった。 2.時間反転対称性は満たしているが、スピン回転対称性が破れているシンプレクティック系、すなわち、スピン軌道相互作用の強い系について、前年度ユニタリー系に対して行ったのと同様の、波束の拡散のシミュレーションを二次元系に対して実行し、転移点直上では、時間的な自己相関関数のべき乗的減衰の指数から、系の状態やエネルギースペクトルにフラクタルな構造が存在していることを明らかにした。 3.三次元のシンプレクティック系に対しては、有限サイズスケーリング解析によって局在長の発散の指数が1.3程度であること、及び転移点直上での準位統計はオーソゴナルな場合とは異なる振る舞いを示すこと等を明らかにした。 4.有限サイズスケーリングの計算を精度の高くしてやり直すことによって、3つのユニバーサリティクラスの局在長の発散の指数が、誤差を考慮しても有意の差があることを、三次元の場合に示した。また、それぞれのクラスに対応するモデルで、拡散のシミュレーションを行い、転移点における波動関数の広がり方のフラクタル次元が、どのクラスの場合にも実次元の半分程度であることを示した。
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