量子ホール効果の場の理論をvon Neumann格子表現に基づき展開し以下の事柄が明らかになった。 1。整数量子ホール効果 抵抗標準や微細構造定数の決定に使われている整数量子ホール効果について新しく、 (1-1)現実的な有限サイズ系において、強磁場中では量子化が厳密に成立し有限サイズ補正が消失すること、 (1-2)有限電流系において、 (a)電流が小さいときには量子化が厳密に成立する量子ホール領域があること、 (b)電流が大きくなると量子ホール領域が消失する"breakdown"現象が起きること、 (c)臨界ホール電場が磁場の1。5乗に比例すること、 (1-3)有限サイズ系でのエッジ状態に関し、有効理論のゲージ不変性の解明及びこれらと量子アノマリーとの関連の解明が為された。 2。分数量子ホール効果 分数量子ホール効果について、相互作用によりfluxが凝縮したflux相に基ずく新しい平均場理論が提案された。この理論では、一粒子状態はフラクタル的な構造を持ち、Hofstadterのbutterflyスペクトルと同様なものになる。この意味で、Hofstadterのbutterflyスペクトル分数量子ホール効果の関連が初めて明らかにされた。 3。周期ポテンシャル中でのスペクトル計算と双対性 量子ホール系に短距離周期ポテンシャルを加えた時のスペクトルがvon Neumann格子表現による計算され、ある種の双対性があることが見つけられた。 4。トポロジカル場の理論の対称性の破れ トポロジカル場の理論の、G. ribov特異性によるトポロジカル対称性の自発的破れの可能性が指摘された。
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