当研究代表者が提案した共変的量子群を用い、角運動両量子論(Wigner-Racah代数)及び対称群理論の拡張、及び、その成果の原子核多体問題への応用を研究している。 研究初年度として、現状のまとめ・分析を行った。文献200程に目を通し重要なものを丹念に調べ、また関連する研究会における討論などで、現状把握に必要な資料・情報を収録した。この成果は、研究課題を内容とする英文単行本出版のための草稿の一部とした。量子空間で共変的変換を基にボソン・フェルミオンの生成・消滅演算子を各種分類し体系化すること、及び、ラカ-係数の一般化である9-jシンボルを量子群的に拡張する研究が進み、あわせてSU_q(2)@4SU_q(2)の表現やクロネッカー積の拡張を研究した。一般の3-njシンボルの量子群的拡張については、当研究者による5年前の発表のみ知られているが、その意味については殆ど分かっていなかった。今年度の研究で、この3-njシンボルの或る漸化式が見つかり、braid(組み紐)理論での1番目とn番目の紐の交換を表していることが分かった。これらの成果は、上記の単行本出版等で発表する予定である。 研究のまとめ・発表及び代数計算のためにパソコンPower-Mac7500を購入した。これまで利用の経験がない機種であるので、研究二、三年度に向けての試験的利用を行った。
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