当研究代表者は、物理的量は全て量子空間で不変あるいは共変的変換をするテンソル量であるという構成で、角運動量量子論(Wigner-Racah代数)、及びそれの原子核多体問題への応用を研究した。対称群理論の拡張も試みた。成果を列記する。 ・ボソン・フェルミオンの生成・消滅演算子を量子共変性のもとで可能な形を各種求め体系化した。この結果に両立するように、SU_q(2)【cross product】SU_q(2)の表現やクロネッカー積の拡張をした。 ・ラカ-係数の一般化である3njシンボルを量子群的に拡張した上で新しい漸化式を得た。結果を利用しYang-Baxter関係式や組みひも理論での新しい意味・解釈を見つけた。 ・量子ラカ-係数やクレブッシューゴルダン(CG)係数など量子関数のq=1での一次と二次のqについての微分係数を得ることができ、結果を極めて簡単な形にまとめた。この成果により3njシンボルについての新しいnovel identitiesを多数見いだした。 対称群指標について、数学者のHecke環とは全く違うもっと物理的な拡張を、5次以下の対称群についてみつけた。 量子CG係数や量子Racah係数の直交性を利用して、原子核多体問題での普通の表示とhericity表示、擬LS結合、行列要素のテンソル分野などでの直交交換が基になる箇所で、SU(2)の変換係数を量子変換係数に置き換えるという方法を見つけた。
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