回転する球殻内の熱対流運動による磁場の発達および維持機構を数値シミュレーションによって調べるのが本研究の目的である。熱対流運動や磁場の構造は、この力学系を特徴づける5つの無次元パラメター(レイリー数、テイラー数、レイノルズ数、プラントル数、磁気プラントル数、内外球の半径比)の値によって異なるが、本年度はこれらの値の特定の1組について場の構造を詳細に調べた。 速度場は、球の回転軸に平行な軸を持ち回転の向きが逆向きである強い渦管が交互に5対軸を取り巻くように配置する典型的な熱対流構造を示した。外球面に沿って出来るエクマン層の中のいわゆるエクマンパンピングの作用によって、球とは逆向きに回転する渦管の内部は渦に沿って伸張流になっている。また、この渦管の内部には、渦管に沿う強い磁力線の存在が観測された。本研究では、これが磁力線の伸張強化によって発生したものであることを変形速度テンソルの第1固有関数の解析から明らかにした。 結果の一部は、ダイナモ関係の研究会で発表しているが、本論文は現在作成中である。
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