研究概要 |
回転球殻内の熱対流によって駆動される磁場の生成及びその維持機構の数値シミュレーションによる解明に向けて昨年度から数値的及び理論的解析を続けて行っている。本年度、達成できた主な研究実績は以下の4つにまとめられる。〔1〕研究代表者が京都大学数理解析研究所から核融合科学研究所に転任し、数値シミュレーションを実行する計算機がミニコンピュータからスーパーコンピュータに変わったことに伴い、数値計算コードを書き換えた。メモリー節約型から計算速度重視型に変えることによって10倍以上の計算速度を得た。これまで、ひとつのランをするのに1年近く掛かっていたのが、数週間でできるようになった。〔2〕磁場生成のもとになる熱対流の3次元空間構造を、閉流線や淀み点解析によって明らかにした。渦度の等値面だけでは想像もできない複雑な流線模様が現れた。これをもとにして、磁場と速度場の空間構造の相関関係を現在解析しているところである。〔3〕ランダムな微小磁場を初期条件としたシミュレーションを行い、強磁場の生成を実現した。磁場の双極子成分の準周期的な反転を観測し、これを引き起こす流れと磁場の空間構造の規則的な時間変化を発見した。力学機構については現在解析中である。〔4〕速度場を固定する磁場の運動論的シミュレーションを行い,速度場と磁場の空間構造の強い相関関係を明らかにした。
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