地磁気の生成や反転の力学機構を考察するための最も簡単なモデルのひとつである回転球殻内の熱対流によって駆動される磁場の生成及びその繊維機構の数値シミュレーションによる解析を行った。平成7〜8年度の2年間の間に達成できた主な研究実績は以下の4つにまとめられる。1.MHDブシネスク流体の熱対流運動と磁場の時間発展を基礎方程式を正確に解いて、強い磁場の発生と双極子磁場の準周期的な時間変動をコンピュータの上で実現したのは世界でも初めてである。準周期的でなく間欠的な磁場反転を実現する数値シミュレーションを現在計画している。2.磁場生成のもとになる熱対流の3次元空間構造を、閉流線や淀み点解析によって明らかにした。渦度の等値面だけでは想像もできないほど複雑に絡み合った流線模様が現れた。この流線構造および速度勾配テンソルの固有値解析により、磁場と速度場の空間構造の相関関係を現在解析中である。3.上記の磁場の双極子成分の準周期的な反転を引き起こす流れと磁場の空間構造には規則的な時間変動があることを発見した。この力学機構についても現在解析中である。4.速度場を固定する磁場の運動論的シミュレーションを行い、速度場と磁場の空間構造の強い相関関係を明らかにした。
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