前年度からひきつづいた研究は、流体の中に形成されたせん断層が不安定化して境界との相互作用を通して最終的に境界支配型のセル状渦流れに転化する過程を調べることであった。これに関して、130×3S×30mの水槽による実験を行った。水槽の中に密度成層流体を作り、水槽の側壁のノズルから重い流体の強いジェットを流体中に放出してせん断を作ると、中間層に4個の互いに逆回転するセル状渦の列が形成されることを見出した。更に全系が回転しているときには、4個の渦を含む中間層はレンズ状の構造を呈することを見出した。また、小型平面水槽を用いてローレンツ力で駆動される渦集団の挙動を調べた。その結果、全系が反時計まわりに回転しているときには、水面のトレーサ粒子が時計まわりに回転する渦に集まる傾向をもつことを見出し、先にのべたセル状渦の構造との対応もつけられることが分かった。これらの渦流れは大規模な海洋流現象とも関連をもち、大小のスケールで同じ機構によって相似な流れ構造が実現することが分かった。
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