この研究の目的は、空間スケールが大きく異なっていても相似な2D又は準2D流れが形成される機構を実験的に調べることであった。はじめに、周期渦列形せん断伴流の長時間挙動について調べた。長方形水槽の中に形成された乱流渦列は、小さなスケールの乱れが減衰するにつれて正弦波状の不安定波となる。その後、この波は水槽壁うち当たって互いに逆方向に回転するセル状の渦で構成された一列の渦列となる。この渦列の波長は水槽幅の0.67倍である。この渦列の形は時間がたっても変わらない。自然流体では水平を区切る壁がないので、周期渦列は粘性で減衰しながらも相似形を保ったままスケールアップする。また、このような渦列の長時間挙動としてのセル状渦列は成層流体中のジエットあるいは回転成層流体中のジエットでも形成されることを見い出した。次に、平面水槽を用いて、ローレンツ力で駆動される電解液の流れを用いて、6×6個の格子状配列磁石の上の水平対流の挙動を調べた。その結果、ローレンツ力を規定するパラメータがある臨界値をこえると格子状セル流れが乱流化することが分かった。乱流化した流れも、小さな乱れに応答しないトレーサで可視化すると、秩序構造が見られることが分かった。このような秩序構造は基本的にはもとの格子状セル流れと相似なものであることを見い出した。
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