研究概要 |
線形項がなく,純粋に非線形の一項(χ^4)のみの格子を対象に研究を進めた.この方程式の中間積分は1つの任意定数を含むが,任意関数を含まない.中間積分から任意定数を各々1つ含む2つの中間積分から任意の初期波形に対する各々の解析解(ただし,初期速度分布は初期波形とは独立に与え得ない)が求められた.ガウス波形が時間の経過と共にどう変化するかを調べた.一方の解波形は右方に,他方の解は左方に歪んで行き,ある時間経過ののち,波形はともに連続的に変化して,一部の領域で多価になり,さらに時間が経過すると波形の存在するすべての領域で多価になった. 同じ初期条件のもとで,数値解は解析解が一価の領域ではそれ一致し,多価の領域では空間的にランダムに変化する成分を重畳した波形を与えた.この多価の領域を含めると両者はともに系のエネルギの保存を与え,さらに波形が全く異なるにも拘わらず,極めてよく似たエネルギ分布をもつことが分かった.したがって我々は,多価解も物理的に意味のあるものではないかと予想している.波動のエネルギは時間経過に線形に比例して拡散するという結果も解析的に得られた. 我々のモデルの数学的性質に関する最終結論はまだ得られてなく,また多価解の物理的有意性に関する見解も期間内には多数の研究者の同意を得るまでに至っていない.これらについては,現在,解決のため努力中である. さらに,計算物理の手法を天体の現象に適用して,太陽をめぐる数千個の粒子がニュートンの力学にしたがって数個の惑星となることを実証した.二次化のほかは仮定・近似をせずに作ったevent driven modelにより数億年にわたる現象を(時間について積分する必要なく)数千回のeventの計算だけで追跡できる.このモデルによって(衝突したときに合体さえすれば)一般の星は中心星からの距離の公比1.85の等比級数で表される惑星系をもつことが分かった.
|