研究概要 |
種々の生成過程(室内実験での生成及び商業用)によるアモルファスカーボンやグラファイト多数を手にいれた。これらの微粒子をKBrにうめこみ,紫外から中間赤外の吸収を測定した。また、遠赤外ではポリエチレンのシートにうめこみ吸収を測定した。一方、これらの微粒子の結晶性、形状、構造について電子顕微鏡で調べた。遠赤外では、カーボン、グラファイトはピークのない吸収曲線を示すが、吸収の傾き指数はカーボンからグラファイトまで結晶性がよくなるにつれて0.6から2.9まで少しずつ増加して、結晶性と傾き指数との間には、はっきりした相関のあることが明らかになった。これらの結晶性は、カーボンにおいては微結晶子のサイズの大きさ、構造の相違(玉葱構造、ナノチューブ)、グラファイトにおいては結晶性の良否、欠陥の大小等に関連している。紫外から中間赤外の吸収については、結晶性との相関はあまりはっきりしていない。唯、結晶の似た様な場合、結晶性のよい方が吸収の絶対値は大きくなる傾向はある。この吸収の傾き指数から逆に、結晶性を判断できる。これは、炭素星の星周塵の赤外観測の吸収の傾き指数から、星周塵の結晶性を判断でき、星周塵および炭素星の進化を調べる上で貴重なデータとなる。また、隕石中にダイヤモンドがかなり含まれていることが分かり、アレンデ隕石から取り出したナノメートルサイズの微量なダイヤモンドの赤外吸収を測定した。合成ダイヤモンドの吸収測定との比較を行い、また星周塵の観測との比較により、一部の観測スペクトルを説明することを明らかにした。
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