研究概要 |
1.新しい高分解能歪測定装置の構成 硬質岩石での応力測定を容易にすることを目的に,低周波数キャリアを用いた低ドリフト・低ノイズ動歪増幅器を用いて高分解能歪測定装置を構成した.この装置を従来型のそれと比較した結果,新測定装置の分解能は従来型の約1.5倍に向上した.この装置を利用することにより50GPa以上のヤング率を持つ硬質岩石でも応力そくてい容易になったことが確認された. 2.物理定数測定 既に入手された北上山地内の,遠野,釜石,階上,普代でされた花崗岩試料の密度,間隙率,弾性波速度の測定を行った.密度はいずれも2.5g/cm ^3以上,間隙率は1%以下,P波速度は5.5km/s以上である.測定は継続中である. 3.地殼応力測定 釜石,普代の試料について,水平面内に4方向と鉛直方法の計5方向の試料を用いて測定を行った.釜石では水平面内の最大主圧縮応力が鉛直応力とほぼ等しく,普代では鉛直応力よりも小さい.また,釜石での張力方向は,国土地理院による水平歪の最大伸張方向とほぼ等しい.以上のことから,北上山地では張力が卓越しているように見える.過去に測定した江刺における測定結果は鉛直応力が中間主応力であった.このことを考慮すると,内陸に入るにしたがって,この張力傾向が小さくなる傾向が示唆される.今後の課題は,測定地点を増やし,測定試料数を増やしてこの傾向の確かさを確認することである. 4.応力記憶に関する理論の確率 応力の記憶機構を定式化した.その結果,一軸圧縮試験によって行われる変形率変化法は,岩石の不均質に関して最も条件の少ない方法であることが理論的に明らかになった.
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