地震の発生時やその前後で地電位が変化したり、異常電波の放射があるという報告がある。特に、地震の前に電気的な異常が起こるとすれば地震予知に役立つ可能性がある。また、この現象を解明するために、室内で岩石資料に力を加えて破壊させ、電位の変化や電波放射の測定実験が試みられ、このような電気的な変化が起こることが認められている。その原因として、応力負荷によるピエゾ効果を考えている人もいる。例えば、ギリシャのVAN法を提唱しているバロストロスはこの立場である。一方、新しい破壊面が生成発展することによって起こるという考えもある。又は破壊面の急激なすべりによって起こるという考えもあり得る。 我々はこの電気的変化の原因がそのいずれであるか、そしてその発生のメカニズムを解明するために、繰返し荷重の下で電位とAEの測定を行うことを計画した。今回は電位測定で最も問題となる誘導雑音を減らすための工夫を行った。アルミ板で囲って静電遮蔽を施すことにより雑音レベルを半減することができた。今回は岩石の曲げ応力下て、電位信号とAEを計測したが、電位信号が観察されたほとんどの場合に顕著なAEが観測された。従って、この電位信号は微小破壊によるという可能性が高い。しかし、既存の破壊面の急激なすべりでもAEが発生するので、その可能性も否定できない。これを判定するには繰返し荷重下で測定を行えばよい。現在、その準備を進めている。
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