地震の発生時やその前後で地震位が変化したり、異常電波の放射があるという報告がある。特に、地震の前に電気的な異常が起こるとすれば、地震の前兆として重要である。岩石試料に圧縮応力を加えてゆくと、応力が増大すると共に微小破壊が発生し、それがAEとして測定される。このAEの発生と共に電位の変化が起こる、という報告がいくつかなされている。 本研究ではこれまでの単調に増加し続ける応力下の実験ではなく、正弦波型の繰返し応力下でAEと電位変化の同時測定を行うことによって、電位変化とAEの発生の対応を比較し、電位変化のメカニズムを検討した。実験は、20×7.5×7.5cmの花崗岩の角柱試料に4点曲げ方式の荷重を加えることによって行った。最大荷重を一定のままで2000回以上繰り返し、破断に至るまでAEと電位変化を測定した。AEについては長さ方向の位置決定を行ない、試料の中央部分で発生していることを確認した。電位測定については、試料が比較的大きいために、いかにして誘導雑音を減らすかに工夫を払った。結果を要約すると、(1)最終破断に近づくにつれて、AEも電位信号も増加する。(2)AEの振巾が大きいほど明瞭な電位信号が発生する傾向がある。(3)明瞭な電位信号の65%が荷重が増大して、最大値になる過程で発生した。(4)荷重の減少過程でもAEが発生するが、電位信号の発生は少ない。 前の吾々の研究によって、荷重が増大し、最大値に達する過程では新しい破壊が発生すること、減少過程では新しい破壊ではなく摩擦すべりによってAEが多発することが明らかになっている。そのことを考慮すると、今回の結果は電位信号は単にAEと対応するのではなく、新しい破壊の生成によって主として起こると結論される。
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