研究概要 |
[実験] 球形および立方体の葉蝋石の標的を用いた衝突破壊実験を衝突速度約1500,および約4000メートル毎秒で計10回行い、以下の結果を得た。なお、全ての実験は、標的1キログラム当たりに与えられたエネルギーが約2.3キロジュールになるように調整した条件のもとで行った。 [衝突破片の形] 球形の標的を用いた場合は、標的の中心部が大きな破片として残るタイプの破壊様式を示した。これは、従来の研究では、衝突速度が比較的高速度(300メートル毎秒程度以上)で、弾丸/標的の質量比が小さい実験において報告されていた様式である。それに対して、立方体の標的を用いた場合は、衝突点から遠い4つの角が大きな破片として残るタイプの破壊様式を示した。これは、従来の研究では、衝突速度が比較的低速度(1000メートル毎秒程度以下)で、弾丸/標的の質量比が大きい実験において報告されていた様式である。今回の結果は、破壊様式が標的の形に大きく依存することを明確に示した。 [破片速度-質量関係] 今年度の実験結果は、衝突破片の速度が破片質量に対して、全体的には、弱い負の相関を持つ事を示した。この結果は、研究代表者のグループが従来から主張してきた、相関を持たないという結果とは異なっている。しかし、研究分担者のグループの結果が示していた程の明瞭な負の相関を示すものでは無かった。本年度の結果は、どたらかというと、破片速度にばらつきが有るが、その上限が破片質量と負の相関を示すというものであった。これらの実験結果の相違の原因解明は、次年度の課題である。
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