球形および立方体の葉蝋石を標的とした衝突破壊実験を、二段式軽ガス銃および一段式火薬銃を用いて行った。そのうち、計17回(本研究の準備段階を含む)の実験については、高速度写真の撮影に成功した。それらの実験より以下の結果を得た。 ・立方体の標的を用いた実験における破片のサイズ分布は3つの領域にわけられたのに対して、球形の標的の場合は2つの領域のみであった。Takagi et al.(1984)等の従来の実験結果においてみられた3つの領域分けは、標的の形の影響であった可能性が高い。 ・最大破片の質量を記述するスケーリング則においては、衝撃波の減衰率を距離の-3乗と仮定するよりも、距離の-2乗と仮定した方が良い相関が得られることが判明した。これは、標的全体が破壊するような現象が、Mizutani te al.(1990)が仮定したようなfar fieldの現象ではなく、near fieldの現象である可能性を示唆していると思われる。 ・全体的傾向としては、破片速度と破片質量との間に負の相関があるようにみられるが、その相関は、Nakamura et al.(1991)により示された程には明確なものではない。 ・破片速度は、衝突点から破片の初期位置までの距離の-0.5〜-0.6乗に比例するという、比較的明瞭な負の相関関係がみられた。 ・各実験において、破片質量で加重平均した破片の速度は、無次元衝突応力のほぼ1乗に比例するという、明瞭な相関関係がみられた。この破片速度との相関関係においては、最大破片の場合と異なり、衝撃波の減衰率を距離の-3乗とした方が良い相関が得られた。ただし、破片速度に関してはデータのばらつきが大きいので、最終的な結論を得るためには、さらに精度の良い実験データを加えていく必要がある。
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