重力の加速度の測定は、地上では、真空中を自由落下するコーナーキューブプリズムの刻々の位置をレーザ干渉計で測定する方式がほぼ確立し、条件が良ければ落下毎の測定値のばらつきが1×10^<-7>ms^<-2>以下の測定も可能となってきたが、無人で観測できるところまでには至っていないのが現状である。したがって、惑星表面や深海底等の人類未踏の場所で重力加速度を測定することは現状では困難である。本研究では、惑星表面や深海底における重力加速度の測定を実現するために、以下の示すような、無人観測に適した測定装置を考案した。概略は、ピエゾ素子上に置かれた逆反射光学素子(コーナーリフレクタ)を、ピエゾ素子の周期的な加速によって、連続的に自由上昇落下させ、その運動を、2個のコーナーリフレクタと2個のビームスプリッタから成るファブリペロ-干渉計で測定し、出力光が常に暗(または明)になるように、もう一方の参照用のコーナーリフレクタを変位させる方式である。重力加速度は、参照用のコーナーリフレクタを駆動する電流の時間変化から求められる。 平成7年度は、光学系の心臓部であるファブリペロ-干渉計を試作し、その光学的特性を実験的に調べた。理論的な推定では、ビームスプリッタの透過係数を0.99、コーナーリフレクタの反射率を1.0とすると、干渉計の感度に相当するフィネスという値が150となり、重力勾配計に応用した場合に分解能が5.8×10^<-13>s^<-2>に達するが、実験に用いた光学素子の特性が理想的でないこと、ビームを安定させるために挿入した凸レンズの吸収の影響、および、光源のレーザ出力が1mW以下と弱かったこと等のために、フィネスは理論値の半分以下にとどまった。
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