研究概要 |
本研究の目的は,中小規模(水平スケール10^1〜10^3km程度,時間スケール10^1〜10^3分程度)の大気擾乱のうち、最も大きな階層である中間規模温帯低気圧(梅雨・秋霖季の亜熱帯前線帯に卓越)や熱帯低気圧の力学的構造について,過去に蓄積されたMU・境界層・気象レーダー観測(特に1994年9月に成功した台風「中心」の観測)結果を総合的に解析するとともに,観測を継続的に実施することによって解明することであった. 本年度は以下のような研究を行った: 1.前年度観測データの解析の本格化 ・地上・境界層・MUレーダー観測データから,(1)大気境界層での熱的・力学的強制過程,地上降水量,対流圏全域にわたる風速変動の様相を,気象官署による中間規模低気圧中心・前線面との相対的位置関係によって分類し解析した(消耗品費・旅費・謝金を使用).特に熱帯低気圧から変化した中間規模低気圧については,前年度に解析した台風との差異について詳細に検討した. ・各レーダーデータから,(2)中〜上部対流圏‘generating cell'の力学・雲(微)物理過程を解析した.境界層レーダーエコー出現時の風速変動をMUレーダーと,降水粒子の情報を気象レーダーと比較解析した(消耗品費・謝金を使用). ・各種観測データから,(3)内部重力波の波動要素・伝播過程を解析した(同上). 2.総合解析と結果の集約 ・2年にわたる研究結果,さらには過去の梅雨・秋霖季観測結果を比較・統合して,中間規模温帯低気圧および熱帯低気圧の内部における雲対流の組織化・発達の実態と成因,亜熱帯前線帯における両低気圧の相互の関係(特に台風の温帯低気圧化の過程)等を解明することを目指した(消耗品費使用). ・以上の成果を論文・口頭発表するとともに,次段階の計画も含めて他の研究者と討論し,全てを集約した報告書を出版した(旅費・謝金・その他を使用).
|