研究概要 |
本研究では,彗星の起源および微惑星の物性の明確化することを目指している.特に,1.核の氷の物性に関する基礎的な物理モデルの構築,2.原始太陽系における彗星の形成温度を決定,3.微粒子集合体の強度に関する分子論的モデルを構築,4.木星によるSL9彗星の潮汐破壊現象や木星大気への突入によって生じた現象にこのモデルを適用することによる微惑星の強度および構造の解明を目的としている. 今年度において3及び4の研究に大きな発展が得られた.すなわち,分子論的考察から,微粒子集合体の引っ張り強度は構成粒子半径の2乗に反比例し、SL9彗星の強度は1/1000気圧程度であること,構成粒子サイズは星間塵サイズであることを示した.これらの成果は国際専門誌に発表した.その結果,4は完了し,3についても第0近似モデルが完成した.より精密なモデルの構築は現在進行中である.その予備的効果は国内のシンポジウムのプロシ-ディングに発表済みである. 1及び2については,それぞれ国際専門誌及び国際学会の編集者からの依頼レビュー論文を完成し,そこにおいてこの分野のレビューを行い,現状の問題点を整理・指摘した.
|