研究概要 |
E層中性風のEISCAT特別実験を、光学観測機器FPIおよびMFレーダーとの同時観測として実施した。ISレーダによる中性風の導出は、最も有効な手法であるが、それは間接的である。一方で、光学機器やMFレーダーにもそれぞれ長所および短所がある。これらを組み合わせることによって、より正確な理解が得られる。現在特別実験データの解析・検討を進めている。 太陽活動度依存性および季節変化調べるため、EISCAT CP-1およびCP-2モードにより取得されたデータを解析した。1986年11月から1996年10月まで、地磁気静穏時に取得された56日分のデータを用いて、平均風および周期風の季節および太陽活動度依存性を研究した。(Nozawa and Brekke,submitted to JGR, and J.Atm.S.-T.Phys.)。データを季節または太陽活動度それぞれについて分類すると、平均風は冬から夏にかけて顕著な季節変化(南向きから北向き、および東向き速度の増加)を示す。太陽活動度による変化は、冬から夏にかけてのそれと類似している。さらにデータを季節と太陽活動両方を考慮して分類すると、春(秋)の平均風は、非常に顕著な太陽活動度依存性を示すことが明らかになった。一方、24時間変動成分の強度の南北成分は季節および太陽活動度依存性を示すが、その東西成分には特に顕著な変化は見られない。12時間変動成分に関しては、顕著な季節変化は見られない一方で、有為な太陽活動度依存性を示すことが明らかになった。 地磁気静穏時における極域E層中性風の平均風は、季節変化をしていることが明らかになったが、そのメカニズムについては、未だ不明でが多い。特に、大気下部から伝わる各種波動の影響を定量的に理解することが今後の大きな課題であると言える。
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