研究概要 |
オーロラTV画像は3次元の広がりを持つ発光領域が2次元に投影されたものであり、トモフラフィ解析はこれらの投影画像から3次元Luminosity領域の位置と形態を復元する逆問題である。CTの手法としてはART(Algebraic Reconstruction Technique)と総称される代数的方法と重畳積分法などと総称される解析的手法がある。オーロラトモグラフィにおいては、2点ステレオ観測や多点トモグラフィ観測で天候等の理由で観測点数が少ない場合について、磁力線に沿うカ-テン状の発光モデルに対する関数フィッティング法や、空間的に配置されたセルモデルにつき再構成時に沿磁力線特性を織り込んでMART(Multiplicative ART)法やSIRT(Simultaneous Iterative RT)法を実行する手法を用いてきたが,とくに本年の主要な目標であった平成7年3月の国際協同観測で他に先駆けて得られた3〜5点の同時観測画像からなる多点トモグラフィ画像について、従来のステレオ2点観測画像から多点画像解析に対応した計算機コードの拡張を行ないいくつかの画像組について3次元構造の復元を行なった。また、この解析に対応したシミュレーションによる検討を併せ行い、モデル関数法、MART法、SIRT法等のオーロラトモグラフィへの応用技法の確立に努めた。これらの成果は、1995年8月にヘルシンキで開催された第22回光学による大気研究欧州年次会合で発表された他,国内では第1回画像センシングシンポジウム、平成7年電気関係学会関西支部連合大会,第98回地球電磁気地球惑星圏学会,国立極地研究所第19回極域における電離圏磁気圏総合観測シンポジウムなどの場において発表された。これらと並行して、さらに多数の観測点がある場合のラドン変換を基礎とする解析的手法の応用、とくにフーリエ変換法及びフィルター逆投影法について数値シミュレーションによる詳しい考察を行なった。また得られた再構成結果のコンピュータビジュアライゼーションについて2つの方法で3次元再構成結果の表示を行った。
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