通常の太陽風磁場と異なりParkerのモデルで説明することのできない惑星間空間の「平面状磁場構造」の発生域が、「ようこう」軟X線画像で発見された太陽表面の「活動域膨張」に一致するかどうかを、太陽面が静穏であった1993年の期間について調べた。「平面状磁場構造」の太陽表面での発生域を太陽風速度から推定すると、5例中4例が活動域と対応し「活動域膨張」が観測された。これは、通常の太陽風観測が偶然活動域と一致する確率(7%)と比べ非常に高い。しかし、太陽面上の発生域での磁力線の走る方向と惑星間空間での磁場の構造平面の向きは合っておらず、より細かい構造を持っていることが示唆された。 一方、全ての活動域のプラズマが異常な太陽風として検出されるわけではないことも判明した。1993年1月から11月の間に地域近傍の軌道で「さきがけ」によって観測された太陽風のうち発生源が活動域に相当するものが16例あったが、平面状磁場構造が5例、その他の異常磁場(スパイラル方向からずれた磁場が85%以上の時間にわたって観測された)が4例で、残りの7例(44%)については、磁場・プラズマ密度とも平均的な太陽風と違いがなく、活動域のプラズマが引き出されたとは考えにくい。間欠的なプラズマ放出、あるいはまっすぐ外向きに放出されていない効果の可能性が考えられる。 さらに、「平面状磁場構造」の空間構造を調べると、必ずしも圧力上昇域に対応していないこと、また、たくさんの平たいフラックスロープでモデル化することもできるが、この場合でも、ロープのねじれ構造が磁場方向のばらつきの原因と言うより、むしろ各ロープの軸がバラバラな方向を向いていることが本質的であることが示された。
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