研究課題/領域番号 |
07640595
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
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研究分担者 |
角和 善隆 東京大学, 教養学部, 助手 (70124667)
棚部 一成 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20108640)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 炭素同位体組成 / 炭酸塩岩 / トラバーチン / 石灰紀 / デボン紀 / カンブリア紀 / オルドビス紀 |
研究概要 |
本研究は、浅海で堆積した炭酸塩岩の炭素同位体組成は、海洋表層の海水の炭素同位体組成を反映する、という事実をふまえて、本邦およびイランで採取した変質していない石灰岩、ドロマイト岩を試料として、顕生代の海洋の炭素同位体組成変動(経時変動)の一端を明らかにする事を目的とした。初年度は調査とサンプリングを中心とし、分析は主に2年度目に行い、以下の成果を得た。 1、南部北上地域に分布する石灰紀の石灰岩、鬼丸層と長岩層の調査と詳細なサンプリングを行った。鬼丸層の最下部にわずかにドロマイトが見られたが、他はすべてカルサイトだけからなる石灰岩であった。Viseanではやや軽く(0〜3パ-ミル)NamurianとWestpharianではやや重い(3〜5パ-ミル)傾向が認められた。懸念された、貫入岩の影響は認められなかった。 2、内陸の環境を推定出来るかどうか検討するため、白骨温泉のトラバーチンの分析をした。炭素同位体組成は、0〜+6パ-ミルとかなり重く、現在の温泉水と非平衡である。沈殿が急速に起こったか、あるいは、温泉水のpHが関係している可能性が指摘される。 3、韓國のカンブリア-オルドビス系石灰岩、ドロマイトを使って、東アジアにおいて、始めて、この時代の経時変動を明らかに出来た。中部〜上部カンブリア紀の正異常はイランでも認められ、グローバル変動を考えられる。下部オルドビス紀へ向かって軽くなる傾向の意義は今後の検討課題として残された。 4、イラン北部の先カンブリア系から三畳系の浅海性炭酸塩岩 主として砂岩、シルト岩からなるデボン系と石灰岩-マ-ルからなる層状石灰岩の石灰系から得たサンプルを分析した。研究対象のセクションには、顕生代の絶滅事変の一つであるファメニアン/フラニアン境界が含まれるはずである。デボン紀には、ほぼ1〜3パ-ミルであり、今の所、顕著な変動は検知していない。Viseanでは北上と同様に、時代とともに軽くなる傾向を見出し、これはグローバル変動を考えられる。
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