研究概要 |
東北地方の南端の位置を決定することを目的に、関東平野北部から米沢盆地にかけて分布する溶結凝灰岩を研究対象として、古地磁気学と年代学の研究をおこなった。日光〜川治に分布する足尾流紋岩類、追貝流紋岩類、片品川流紋岩類、鬼怒川流紋岩類、川治火砕岩類、塩原火砕岩類、矢竹沢層、米沢盆地に分布する大沢層において溶結凝灰岩を36箇所において試料採取した。 大沢層を除くすべての溶結凝灰岩層のFission-Track年代を決定し、13.9Ma〜5.5Maの年代値を示すことがわかった。関東平野北部から米沢盆地にかけて分布する研究対象岩層は中期中新世につくられたことをあきらかにした。 全ての岩石に対して、熱消磁実験を加えた。300度以上の温度で安定な高温成分を見いだすことができた。川治火砕岩類をのぞくすべての中期中新世の研究対象岩層は、地層が傾動運動を被る前の初生の自然残留磁化を保持することを見い出した。古地磁気の平均方向はD=7.3゚, I=40.3゚, a95=6.6゚であり、偏角はほぼ北を指した。 同時代の北海道〜山形までの東北地方の中期中新世の溶結凝灰岩層の古地磁気方位と比較すると、北部関東地域の古地磁気方位は一致することがわかった。13.9Ma〜5.5Maの時代は北部関東地域は東北と同じ運動をする一つの地塊であったと結論した。一方、関東山地の16Ma〜12Maの地層の古地磁気方位は東偏90度〜30度を示し、関東山地と関東北部・東北とは12Maまで異なった地塊として運動していたと結論した。関東山地とのあいだに、中期中新世の東北日本弧と西南日本弧の境界があったらしい。
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