研究概要 |
本年度は西瀬戸内地域のカルクアルカリ系列マグマ活動の代表的な石鎚層群および高マグネシア安山岩系列のマグマ活動の代表的な香川県五色台およびの双方において先駆的に活動しているrhyo-dacite質の酸性マグマの岩石化学的な比較研究を行った。 石鎚層群は上部の黒森峠安山岩類と下部の高野凝灰岩層に分類されている。この凝灰岩層は下部に酸性のrhyo-dacite質の火砕岩が上部には凝灰岩層が卓越する。 火砕岩は偏平な圧砕された軽石片を多数含み、一部は完全に溶結されている。軽石片は熱水変質により、kaoline系列の粘土鉱物とある種のzeolite鉱物に変わっている事が多い。火砕岩は連続性に乏しく変化に富み、細粒の凝灰岩質に移化する。この火砕岩はSiO_2=66-68%のdacite質から73-76%のrhyolite質の組成範囲を示す。 アルカリ長石を含み、SiO_2=71-75%の三坂峠流紋岩は石鎚層群を貫く。四国北西部には、このほか、中新世に活動した酸性火山岩として中央構造線に沿って、明神山型酸性火山岩が、松山北部にはカリ流紋岩質の太山寺型酸性火山岩が分布する。これら酸性火山岩類の活動年代は14-15Maでほぼ同じ時期であるが、K_2O/Na_2O,微量元素、REE,同位体比などから、その起源物質は多様であることが示される。 REE量をコンドライトで規格化したパターンでみると、高野火砕岩はEuの負異常が大きいが、LREEからHREEにかけて、傾斜がゆるい特徴を示す。三坂峠流紋岩はHREEの枯渇度が最もおおきく、かつ、LREEも比較的枯渇している。
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