研究概要 |
イタリアのカラバカの白亜紀/第三紀境界の試料について底生有孔虫、イオウ同位体比,Rock Evalの研究をした結果、溶存酸素量が境界粘土層において極小値を示すことが明らかになった。北海道の川流布の白亜紀/第三紀境界においても、溶存酸素量が境界粘土層において極小値を示すことを、以前我々は報告したが(Kajiwara and Kaiho, 1992)、今回の結果から、白亜紀/第三紀境界における溶存酸素量の減少がグローバルな現象である可能性が高くなった。 白亜紀の浮遊性有孔虫が白亜紀/第三紀境界において急激に絶滅したとする説と、境界を挟んで徐々に絶滅したとする説があって、どちらが正しいのか未解決であった。この問題を解決するために、イタリアのカラバカの白亜紀/第三紀境界の試料について浮遊性有孔虫の層位学的研究と炭素酸素同位体比の研究を行った。その結果、大部分の種が白亜紀/第三紀境界において急激に絶滅したという結果を得た。 中国の雲南の先カンブリア紀/カンブリア紀境界,長江のオルドビス紀/シルル紀境界,南京の二畳紀/三畳紀境界、ハイチの白亜紀/第三紀境界の試料を採取し、分析を行っている。 前年度の研究成果である、ニュージーランド北島タワヌイの暁新統最上部の絶滅事変についての研究論文がPaleoceanographyに出版された(Kaiho et al., 1996)。
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