研究概要 |
西南日本内帯の石炭系・ペルム系・トリアス系の層状チャートについて,化石年代学的検討の進んだセクションを選定し,チャートの厚さとそのあいだにはさまれる泥岩の厚さを,本研究によって購入したデジマチックキャリッパーにより測定した.そして,その結果を同じく,デジマッチックプロッセッサーによって解析して,パソコンに取り込み,Ishiga-diagramを作成した. その結果,3次の異なる堆積サイクルが解読され,第一次のオーダーのサイクルは100万年前後のサイクルをもち,従来の化石帯の境界に一致することが判明した.第二次のオーダーのサイクルは20万年前後であり,第一次のオーダーのサイクル中に対をなして5個認められる.このピークはさらに細かなピークに分解が可能であり,層状チャートのもっとも基本的な堆積サイクルである,単層オーダーの堆積サイクルは約2万年前後と推定される. Ishiga-diagramによる堆積サイクルのピークは実は放散虫の堆積量の変化,つまり生産量に対応すると考えられるので,地質境界とこの堆積のピークがどのように関連しているかについて次に考察した.その結果,石炭紀からペルム紀については全体として生産量が増加する傾向にあり,ペルム期末では他の生物群でみられるような衰退とは逆に生産量のピークがみられるといった特徴を持つ.この知見は新しいプランクトンの生産量とペルム・トリアス紀境界との関係についての知見であり今後より詳細に検討したい. いずれにしても層状チャートの堆積記録は様々なオーダーの地質現象に対応した海洋環境の変化を記録していることは明らかである.
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