1 岐阜県可児市土田で発見された日本初の第三紀小型哺乳動物群(土田ローカルフォーナ)は、本研究を始めた時点で2目4科4属が知られていたが、本年度(本研究の初年度)に行った収集活動の結果、食虫類が1種新たに発見されたほか、既知の種類のうちビーバー科のアンキテリオミス属の追加標本4点を得た。 2 これらの標本を中国及びアメリカの標本と詳しく比較検討した結果、既知のビーバー科の標本には2種類(上記アンキテリオミスとヤンゴファイバー)が含まれていることが判明した。また、以前には北アメリカのホリネズミ科に属すると考えられていた新属は、実はヨーロッパの同時代の地層からごく最近みつかったエオミス科の新属であることが明らかとなり、チェコのフェイファー教授との共同研究を進めることとなった。 3 以上の追加・変更により、土田ローカルフォーナの構成は現在のところ3目4科6属となった。 4 これらの新知見を加え、これまでの成果について、1995年11月にアメリカ・ピッツバーグで開かれた古脊椎動物学会で発表を行った(裏ページ最初の論文)。ビーバー科のうち、新しく判明したヤンゴファイバーについては公式の記載論文として発表した(裏ページ2番目の論文)。 5 化石標本のレプリカを作製し他の研究機関と交換する作業は、中国(古脊椎動物古人類研究所)及びアメリカ(サザンメソジスト大学)とはすでに行い、フランス(国立自然史博物館)及びチェコ(チャールス大学)とは準備中である。
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