研究概要 |
本年度の主な研究成果は以下のとおりである. (1)仙岩地熱地帯の地表サンプルおよびボーリングコアを用いて,変質鉱物の産状と分布を明らかにした.その結果,この地熱地帯および周辺にはカルデラ型ゼオライト化作用,熱水変質作用,続成作用の3種の成因の異なる変質作用あ区別された.さらに,熱水変質作用は,酸性,中性,アルカリ性の3種に区分される.カルデラ型ゼオライト化作用とアルカリ型熱水変質作用はともにゼオライトを特徴鉱物とするが,産状と分布が異なり,後者は前者に重複し後期に生成している. (2)ゼオライトと共生する炭酸塩鉱物中の液体包有物充填温度を測定したが,ゼオライトの合成実験による生成温度と有意の差はなかった.同様な結果は高草山アルカリ岩の場合にも得られており,ゼオライトの生成温度推定に使えるかも知れない. (3)種々の熱水変質岩について帯磁率の測定を行った.その結果,帯磁率の減少は熱水の化学的性質と流動量の両方によるらしいことが明らかになった.これを応用して,熱水流動の中心を推定することが可能であろう. (4)十和田・八甲田地熱地帯について地表調査を行ない熱水変質帯を確認した.ボーリングコアについては現在XRD分析中である.
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