研究概要 |
平成8年度は、交付申請書に記載したように原始太陽系星雲中に存在する始源的な固体物質である星間塵の形成過程や存在形態を明らかにする事に重点をおいて、以下の研究を行なった。 (1)炭素星の周りでKozasa et al (1996)で形成が指摘されたSiCを核としcarbonのマントルで覆われた固体微粒子の形成を、形成によって引き起こされる星からの質量放出現象とカップルして考察され、IAU Symp.No 177 “The carbon star phenomenon"で発表した。 (2)最近その存在が確認されたOxygen-rich AGB starで見られる13μm featureに注目して、Oxygen-rich AGB starsの周りでの固体微粒子の形成過程を考察し、13μm featureの担な手は、星風中で先に形成されたAl_2O_3を核とし後にsilicateのマントルで覆われたdust grainである可能性を示した。1996年秋季天文学会、第18回grain formation workshopで成果の一部が報告され、1997年春季天文学会(1997年3月)及びUMIST workshop “dust and molecules in evolved stars"(1997年3月,Manchester,U.K.)でも発表される予定である。 (3)凝縮核形成率の非定常性を考慮した固体微粒子形成過程の定式化を行ない、超新星爆発時に放出されたガス中での固体微粒子の形成を取り扱った。成果の一部はCTIO/ESO workshop “SN1987Aten years after"(1997年2月,La Serena Chile)で発表された。 (4)Greenbergの星間塵モデルに基づいて提案された彗星塵で見られる結晶質silicateの形成過程を潜熱の解放の効果も入れてより厳密に考察し、10〜20%程度のsilicateが結晶化することを示した。結果は、VIth Internatinal conference on Asteroids,comets,meteors (1996年7月,Versailles,France),1996年度日本惑星科学会秋季年会等で発表された。
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