研究概要 |
1.オリビンの(100)面に沿う面欠陥の再生実験 赤外線集中加熱単結晶製造装置を用いてTSFZ法により、Fa-Fo固溶体のうちFa_<100>、Fa_<90>、Fa_<70>の単結晶を育成した。各組成の単結晶から厚さ約15μmの(010)面の薄膜を作成し、水熱合成装置を用いて変質実験を行った。300℃、0.1Kbar、HMの条件で、HC11N、NaOH1Nの水溶液を用いた。 結果として酸性溶液では、どの組成においてもオリビンの(001)面に平行に面状析出物が析出した。一方アルカリ性溶液では、Fa_<70>において(100)面に、Fa_<90>においては(102),(104),(1012),(001)に平行に面状析出物が析出した。面状析出物は酸性溶液中ではヘマタイトとアモルファスシリカで構成され、アルカリ性溶液中ではライフ-ナイトとヘマタイトから構成される。これらの結果はオリビンが水熱変質をうける時の陽イオン溶出メカニズムで説明される。 2.a軸方向に伸びるウイスカー状エンスタタイトの再生実験 蒸着物質を凝縮させるために下部に取り付けたモリブデン基盤の温度を精度よくコントロールできるように、蒸着装置を改良した。輝石組成を上部に取り付けたタングステンバスケットで蒸発させた試料をX線粉末回折法と透過型電子顕微鏡で解析した。数多くの条件を検討した結果、水素圧25mmHg、凝縮温度1150℃で10分間下部基盤に凝縮させる条件で、a軸方向に伸びるウイスカー状エンスタタイトが10%程度生成することが分かった。残りの生成物はc軸方向に伸びるウイスカー状エンスタタイトが40%程度、ウイスカー状フォーステライトおよび未同定鉱物が50%程度であった。
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