研究概要 |
本研究では、舟形に変形したベンゼン環を構成単位とする新奇なベルト型分子[O^4]パラシクロファン1を設計し、最終段階にDewarベンゼンの開環異性化を活用する合成戦略を立てて、1およびそのホモローグの合成を目指した。 平成8年度は、平成7年度に開発したDewarベンゼン型ビルディングブロック、8,10-ジクロロ-3,5-ジオキソビシクロ[5.2.2]ウンデカ-8,10-ジエン(2)を活用してブタジイン拡張[O^6]パラシクロファン3の合成を検討した。すなわち、2のビニルクロリド部分でのアセチレン類とのクロスカップリング、末端アセチレンの酸化的カップリングを活用した大環状構造の構築、アセタール基の脱保護、そしてDewarベンゼン部分の原子価結合異性化による3の合成を試みた。結局、時間的な問題で3の合成には到らなかったが、そのオリゴDewarベンゼン型前駆体の合成、および3の4つのパラフェニレンユニットをメタフェニレンユニットで置き換えたモデル化合物の合成に成功し、この方法論の妥当性を確認した。
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