光誘起電子移動によるビラジカロイドおよびビラジカルの発生

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07640701
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: 高橋 康丈 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70197185)
• キーワード: 光誘起電子移動 / ビラジカル / ビラジカロイド / ベンゾシクロブテン

研究概要

3-メトキシ-4-メチルベンゾシクロブテンのトランス体(trans-1)およびシス体(cis-1)の電子移動による開環反応の立体選択性について検討した。基質とテトラシアノエチレンのCT錯体に光照射したところ、2,2,4,4-テトラシアノ-1-メトキシ-4-メチルテトラリン(trans-2およびcis-2)が生成することがわかった。trans-1からの反応では、2のtrans体とcis体の比が1:2で、cis-1からは5:1の比で得られることを見いだした。このことは、カチオンラジカル状態ではtrans-1およびcis-1は、同旋と逆旋開環を同時に起こすことを示している。1の熱的開環は立体特異的に同旋過程で進行するのに対し、対照的な結果である。
2,3-ビス(1-フェニルビニル)フラン3の光誘起電子移動反応について検討した。その結果、3の電子環状環化がおこりジメチレンフラン型ビラジカル4が発生することがわかった。各種アルケン類とビラジカル4との付加の立体化学についても検討した。アルケン類としてはフマロニトリル、ジメチルマレエ-トおよびフマレートを用いた。その結果、いずれの場合にもアルケンの立体が保持された付加体が得られることがわかった。このことよりビラジカル4は一重項であると結論した。

研究成果

• [文献書誌] Yasutake Takahashi: "Stcpwisc but potcntially stcrosclcctivc intramolccular [2+2]cycloaddition via 1,4-cation radical intermediates" J. Chem. Soc., Chem. Commun.521-522 (1995)
• [文献書誌] Yasutake Takahashi: "Photinduced electron-transfer reactions of 2,7-diarylocta-1,7-dienes 2,8-diarylnona-1,8-dienes" Tetrahedron Lett.36. 1889-1892 (1995)
• [文献書誌] Yasutake Takahashi: "Photinduced skeletal rearrangement of 1,1-diphenylspiropentanes" 36. 5207-5210 (1995)
• [文献書誌] Yasutake Takahashi: "Electron-transfer photochemistry of 2,3-diphenyl-1,3-butadiene" Res. Chem. Intermed.21. 765-775 (1995)
• [文献書誌] Yasutake Takahashi: "Generation of an o-xylylene: electroclization of 1,2-bis (1-phenylvinyl) benzene promoted by photoinduced electron transfer" J. Chem. Soc., Chem. Commun.1749-1750 (1995)
• [文献書誌] C. Sato: "New aspects on fluorescence quenching by molecular oxygen. 2." J. Phys. Chem.99. 16925-16931 (1995)
• [文献書誌] Yasutake Takahashi: "Photoinduced skeletal rearrangement of 1,1-diarylspiropentanes" J. Chem. Soc., Perkin Trans 1. (印刷中).
• [文献書誌] Yasutake Takahashi: "Phenylcyclopropane cation radical revisited: generation, direct observation, and determination of the rates of nucleophilic capture" Tetrahedron Lett.(印刷中).