研究課題/領域番号 |
07640710
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山田 和俊 千葉大学, 工学部, 教授 (60009230)
|
研究分担者 |
岸川 圭希 千葉大学, 工学部, 助手 (40241939)
幸本 重男 千葉大学, 工学部, 助教授 (90195686)
山本 忠 千葉大学, 工学部, 教授 (50039294)
|
キーワード | 芳香族光環化反応 / 光[4+4]環化反応 / レトロ[4+4]環化反応 / 単結晶X線回折 / 固相光反応 / 絶対不斉合成 |
研究概要 |
アミド系芳香族化合物、特にアントラセン環を有する系の光環化反応を検討して以下の研究成果を得た。 1.N-アンソロイル-1-ナフタミド系の分子内光環化反応 (1)ビラジカル中間体の捕捉:反応中間体である1,8-ビラジカルの安定性を増すために、前年度に検討したN-ナフトイル-1-ナフタミド系の一方のナフタレン環をアントラセン環にした系で試みた。反応は定量的[4+4]環化生成物を与えた。この系ではナフトイル系で見られたビラジカル中間体の酸素分子による捕捉は見られなかった。ナフトイル系と異なり反応系内にレトロ反応(レトロ[2+2]反応)が存在しない事より、効率の良い1,8-ビラジカル中間体の捕捉にはレトロ反応の利用により定常的にビラジカル中間体を生成させる必要性のある事が判明した。 (2)固相光反応:分子軌道法によりこの系の最安定コンフォメーションを推定すると、アントラセン環とナフタレン環が向かい合った構造が安定でり、単結晶X線回折による結晶構造回析でもこの配列をとる事が判明した。結晶はキラルであり固相光反応により不斉光[4+4]環化反応が可能となった。これは芳香族光環化反応における初めての絶対不斉合成の例である。またレトロ[4+4]環化反応が熱的に結晶状態で起こる事も見出した。 2.N-アンソロイル-1-アントラミド系の分子内光環化反応 この系の光[4+4]環化反応はきわめて効率が良く、単結晶から単結晶への光反応が期待されるのでX線回折による反応の追跡を行った。現在までの所まだ良い結果は得られていないが、今後低温下での光反応、X線回折測定が必要となる。
|