研究概要 |
一連のテトラアルキルポルフィリン鉄(III)錯体の低スピンビス-イミダゾール付加体を合成し、それらの^1H NMRスペクトルを測定した。2メチルイミダゾール配位の場合には、メソ位の置換基がH,Me,Et,iPrと変化するにつれ、ピロールの化学シフトが大きな低磁場シフトを示した。特にメソ位にiPr基を持つ錯体では、低スピン錯体であるにも関わらずピロールシグナルが反磁性領域にまでシフトした。また、1メチルイミダゾールの場合には、メソ位の置換基がMe,Etのピロールの化学シフトは通常の値(-19.59,-19.68ppm)であったが、iPrのピロールの化学シフトは反磁性領域にまでシフトしていた。これらのピロールのシフトの結果をポルフィリン環の非平面化によるものと解釈した。イソプロピル基を持つ高スピンポルフィリン錯体については、その構造をX線結晶解析により決定した。対応するテトラフェニル体に比べポルフィリン環の著しい変形が判明した。
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