研究概要 |
前年度までの研究で、種々の遷移金属と多座配位子の組み合わせ(とりわけ、Cd2^+と4,4'-ピピリジン)から、格子上二次元無限構造の錯体が得られること、ゲスト存在下では、ゲスト分子包接錯体が得られること、さらにはこの錯体がアルデヒド類のシアノシリル化を触媒することを明らかにしている。今年度は三座および四座配位子、さらには光学活性な配位子を合成し、錯体形成により二次元的制御された内部空孔や不斉な内部空孔を持つ無限骨格錯体を合成した。また、これまでに研究例の少ない、柔軟性を持った配位子からの無限骨接錯体の形成を検討し、柔軟な網目構造をつくることにより、ゲストの形状によらない、オーダーメ-ドの包接錯体をつくることに成功した。 一方、Cd2^+と4,4'-ピピリジン格子上無限錯体を触媒とするアルデヒド類シアノシリル化反応について、この反応の形状特異性を調べた。その結果、この反応の効率はアルデヒド類RCHOのR基のかさ高さに著しく影響を受けることがわかった。これは、反応が固体内部で進行するためと考えられる。
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