平成7年度は、カウンター内蔵気体試料容器の開発・作製に必要な基礎データの収集、これまでの我々のデータに基づく本実験計画の詳細検討、及び新しい捕獲モデルの提唱を行った。測定実験は、マシンタイムの採択が遅れたため、予定のビーム実験を終了したところである。現状と今後の予定、及び現時点での成果をまとめる。 研究概要 (1)カウンター内蔵気体試料高圧容器の開発…低エネルギーパイオニックX線測定(炭素や酸素:10〜30Kev)を可能にするため、高圧容器の薄壁化(ベリリウム製)とD-化プラスチックシンチレーター(D-PS)によるカウンターの開発を行う必要がある。これまでに、D-PSのテストと設計は終了しており、容器作製に必要な基礎データも収集し、現在解析中である。 (2)データ解析・通信系の整備…本研究ではこれまで以上に詳細なスペクトル解析を要するため、パイオニックX線専用のピーク解析プログラムの開発を行ないつつある。KEK-PSとのオンラインデータの交換等も現在検討している。 (3)測定試料の調整…試料として、H_2、NH_3、気体の炭化水素(C_nH_m)等、及びそれらと希ガスやSF_6との種々の混合比の2成分系試料を調製する準備を進めている。 これまでの成果 これまでの本実験グループのデータ解析の結果から捕獲過程に関する新しいモデルを提唱し(Phy.Rev.A & Phy.Rev.Lett.に発表済み)、パイ中間子捕獲から転移過程の統一的理解に大きく貢献しつつある。本実験はさらにこのモデルを検証し、より改良するために重要なデータを与えるものと期待される。
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