放射性同位体を使用できるRFイオントラップを作成し、イオントラップに極微量の放射性同位体をトラップして簡単な飛行時間質量分析と放射性測定を組み合わせた分析装置を開発することによって、放射性同位体のトラップに関する研究を行う目的で始めた。イオントラップとして円筒形型のセルを用いてRFイオントラップとして働かせた、イオン源にはフィラメントを用いた熱イオン源でガスを導入することによりイオンを得た。ArおよびN_2ガスによる基礎研究で分かったことは、1)当初の予想した通りに円筒形セルはイオントラップとしての寿命は6μ秒程度と短かった、2)イオントラップに関する効率の検討からトラップ効率は10^<-3>程度になった、3)イオン化に関して今回の熱イオン源でかつセル外からのイオンの導入は10^<-5>程度の効率しか示さなかった。これらの結果から(特に3番の結果)放射性同位体を取り扱うためにはそのイオン化とセルへの導入が非常に困難な問題であり、現実に実験するまでに至らなかった。今後の検討課題としてキャリアーガスを取り除いて目的物質(放射性同位体)だけをイオン化してセル内への導入する系の開発が求められる。
|