研究概要 |
1.トシルレ-バリンを配位子とするキラルボラン錯体を用いた不斉反応(アルドール反応)をキラルアルデヒドに適用したところ、全くアルデヒドのキラリティに反応の立体化学は依存することなく、触媒錯体のキラリティによって制御されることを明らかにした(Catalyst Control)。したがってラセミアルデヒドからはほぼ完全な選択性でSyn,anti異性体が光学活性な状態で得られてくる。このケースで、アルデヒドのものキラリティが水酸基である場合、その位置がアルデヒドからα位、β位である場合、光学活性な1,2ーシン・アンチおよび1,3ーシン・アンチが達成された。 2.しかしながら1.の場合でのシリル求核剤はもとのエステルが酢酸エステルのα位にジメチル基を有する場合にのみ高選択性が実現されていて、酢酸エステルそのものの場合その選択性は10〜20%低下した。そこで、その解決のため適切な立体かさ高さを持ち、かつ後でとりのぞくことができるα位にS,S基(すなはちDithiolane)を導入することでそれを解決することができるようになった。このことで、光学活性な1,3シン体および1,3アンチ体の完全な作りわけが可能となった。
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