研究概要 |
トシルバリンを配位子とするキラルボランを用いる不斉アルドール反応によって、課題テーマの反応が展開された。不斉点の創出にあたり、基質に既存の不斉点が影響しない反応が開発されれば、その不斉反応の新しい不斉点は触媒の立体のみによって依存したものとなる。すなはち触媒コントロール反応である。1,2-および1,3-ジオール体の合成は既存の立体と新しく生成した立体の相対関係により、シン体ならびにアンチ体が得られることになる。当研究によって、その有効なアプローチが完全に達成された。 1.α位に保護された水酸基を持つアルデヒドに対して、配位子として用いるトシルバリンを、(S)体と(R)体を使用することで、完全に逆の立体化学を持つ新しい不斉点を得ることができた。既存の不斉点との相対関係からそれらは1,2ーシンおよびアンチジオールの完全不斉合成に対応する。 2.また、β位に保護された水酸基を持つアルデヒドに対して、同様な試みがなされ,1,3ーシンおよびアンチジオールの完全不斉合成が達成された。それらは、HMG-CoA酵素阻害剤メビロニンラクトンの合成となって応用研究も結実した。
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