研究概要 |
当初に計画した通り、本年度は、アミノ酸の光学異性体であるL-アミノ酸およびD-アミノ酸を定量するため、L-アミノ酸ならびにD-アミノ酸測定用マイクロ酵素センサの試作を行い、センサの特性評価、L-アミノ酸とD-アミノ酸の測定における基礎的検討を行うことができた。 マイクロ酵素センサは次の方法で作製した。アセチレンブラックとテフロン乳濁液を用いて合成した1-10μmの孔径を持つ多孔性カーボンペーストを、直径30μmの超微小白金電極の先端部に充填し、王水に浸せきして、電極先端部の白金を2-4μm溶解した後、その空洞にカーボンペーストを充填した。別に合成したオスミウム錯体[Os(bpy)3](PF6)2を用いて、掃引速度20mV/sで200〜900mVの範囲で100回以上ロ-ディングさせた後に、L-アミノ酸オキシダーゼあるいはD-アミノ酸オキシダーゼを含んだ緩衝溶液に浸し、吸着法により酵素を固定化させた。試作のL-アミノ酸ならびにD-アミノ酸測定用マイクロ酵素センサの特性として、オスミウム錯体のロ-ディング、センサへのpHの影響、温度の影響、定量可能範囲、センサの寿命などのセンサの特性について、既存のBAS 100BW, Electrochemical Analyzer(Bioanalytical Systems, Inc.)を用いて検討した。さらに、共存物質の影響についても検討し、マイクロ酵素センサの理論的解析を行った。 また、D-アミノ酸中のL-アミノ酸の定量およびL-アミノ酸中のD-アミノ酸の定量についての検討も行った。その結果、10倍モルD-アミノ酸中のL-アミノ酸、あるいは10倍モルL-アミノ酸中のD-アミノ酸が±7.7%以内の相対誤差で定量可能であることが明らかになった。
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