当初計画した通り、平成7年度においてはL-アミノ酸測定用マイクロ酵素センサとD-アミノ酸測定用マイクロ酵素センサの試作を行い、センサの特性評価、L-アミノ酸とD-アミノ酸の測定における基磋的検討を行うことができた。まず、90%アセチレンブラックと10%テフロン乳濁液を用いて1-10μmの孔径を持つ多孔性カーボンペーストを合成した。これを0.1%Zonyl FSN fluoro-Carbon surfactantならびに2.5%ナフィオンで処理した。超微小白金電極(直径30μm)を作製し、電極先端部の白金を2-4μm溶解した後、その空洞にカーボンペーストを充填した。白金の溶解状態、カーボンペーストの充填状態はビデオマイクロスコープにより確認を行いながら実験をすすめた。別に合成したオスミウム錯体[Os(bpy)_3](PF_6)を用いて、掃引速度20mV/sで200〜900mVの範囲で100回以上ロ-ディングさせた後に、L-アミノ酸キシダーゼあるいはD-アミノ酸オキシダーゼを含んだ緩衝溶液に浸し吸着法により酵素を固定化した。試作のL-アミノ酸ならびにD-アミノ酸測定用マイクロ酵素センサの特性として、センサへのpHの影響、温度の影響、定量可能範囲、センサの寿命など、センサの特性についてElectrochemical Analyzerを用いて検討した。さらに、共存物質の影響についても検討し、マイクロ酵素センサの理論的解析を行った。 また、平成8年度には、試作超微小酵素センサを用いるL-アミノ酸ならびにD-アミノ酸の定量法を確立した。D-アミノ酸中のL-アミノ酸の定量、L-アミノ酸中のD-アミノ酸の定量について検討した後、実際試料への適用として市販薬品数種類中のアミノ酸の定量法の検討を行った。最後に成人尿中のアミノ酸の定量への試作センサの適用を試み、良好な結果を得た。
|