研究概要 |
本研究は、バクテリオファージ頭殻中に取り込まれたDNAがどのように配位されているかを明らかにすることを目的とした。 用いられた材料は、枯草菌ファージφ29およびM2であり、それぞれ約19kb、18kbの直鎖状二本鎖DNAをもっている。DNAの5'末端に約30kのタンパク質(TP, 266個のアミノ酸)を(232セリンのOH基と)共有結合したタンパク質・DNA複合体ゲノムを構成しファージ頭殻中に包み込まれている。TPは、タンパク質間の認識結合モチーフの一つであるRGD配列とRGD結合配列(KKIPPDD)を持っている。また、同一タンパク質中にRGDおよびRGD結合配列を持つ極めてユニークなタンパク質である。 本研究は、ビオチン化RGDペプチドをプローブとして、ファージ頭殻中のDNAの両末端がどのように配位しているかを検討したものである。 野生型φ29の及びM2ファージをカーボンコートした電顕メッシュグリッド表面に吸着乾燥後ビオチン化RGD溶液と反応させ、洗浄後、ストレプトアビン金粒子(直径20nm)を結合させることによりファージ中のDNAの両末端の位置を視覚化した。 電顕像としてファージの頭殻と尾部の接続部にあるカラー構造に金粒子が結合した像が得られた。多くの電顕像は一つの金粒子のみが結合していたが、まれにカラー構造の二つの金粒子が検出された。 この結果は、φ29・M2のDNA両末端はファージ頭殻と尾部接続部に位置するという仮説を指示すると考えられる。
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