研究概要 |
カドワシアリ,クシケアリ,アズマオオズアリ,クロヤマアリなどいろいろな種について精子の形態,受精のう内精子数を観察した。形態観察は、DNAを蛍光染色した精子を蛍光顕微鏡下におくことによって行った。その結果、いずれの種でも尾部が一担数本に分岐し再び合流するとう特異的な形態が見られた。その他の点では種間差が多数認められたが、種内差は今のところ見つかっていない。数はHemocytometerを用いてカウントしたが、種間差、種内差ともにかなり大きく、さらなるデータ収集が必要である。特に、小型種では受精のう内の精子数が予想以上に少なく、より正確なカウントのために、より精密な方法を開発する必要がある。交尾回数はハキリアリ族7種について分析した。CAP-PCR法によるDNA解析を行ったとこと、ムカシキノコアリなどの原始的グループは1回交尾、ハキリアリなどの高等グループは多数回交尾という傾向が認められた。原始的グループでは形態分化が分業が極めて単純であるのに対し、高等グループでは高度な分業が認められ、ワーカーコントロール手段として多数回交尾が進化したとする説を支持しているように思われる。
|