研究概要 |
冷暖温帯移行域(茨城県北部)の萌芽二次林において以下の研究成果が得られた。 1.林冠木の優占種がコナラとクリ(樹齢は約20年,樹高10〜12m)である萌芽二次林に10m×10mの調査区を2ケ所設定した。この2種で胸高断面積の66%を占めた。中層木(樹高6〜9m)にはアカシデ,ウリカエデが,下層にはヤマツツジが優占していた。伐採木より胸高直径とバイオマスとの相対成長関係を求め,調査林の現存量を推定した。現存量は461.6と590.5kgdwa^<-1>であった。 2.コナラ,アカシデの実生更新に上層植物が与える影響を調べた。上層植物伐採(ギャップ区),ササ刈取り区,ヤマツツジ刈取り区及び中層木伐採区,無処理区を設定し,実生の成長と生残を調べた。ギャップ区のみが成長率と生残率が高かった。ギャップでしか実生更新が起こらないことが推察された。 3.アカシデ,コナラ,クリについて,上層と下層で葉のデモグラフィーの季節変化を調べた。上層のアカシデのシュートは9月下旬まで葉を連続的に出した。また,枯死も連続的に起こった。コナラとクリは4月下旬の芽生え期と7月上旬のラマスシュートの二度の出葉が起こった。下層では3種とも春の芽生え期の出葉の1回だけであった。アカシデは陽樹的な出葉様式を示した。 4.林冠部の光合成を8月と10月に測定した。コナラとクリでは,最大光合成は上層の葉で約10μmol m^<-2>S^<-1>下層の葉で約4μmolm^<-2>S^<-1>であった。アカシデは上層で8μmolm^<-2>S^<-1>,下層で2μmolm^<-2>S^<-1>であった。コナラとクリは日中に気孔閉鎖による光合成の低下が起きた。
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