1)従来精度が低いまま行われているメグロの生息密度評価を改善するために、次の方法について調査検討した。 メグロは一般的にはまれにしかさえずらないが、日の出30分ほど前から15-20分ほどは例外的に盛んにさえずる(song burst)。この行動を利用することにより、生息するオス密度を正確に推定することができると思われる。そこでなわばりオスの生息数が知られている(東大、川上氏らの調査による)母島御岳神社の山林において早朝さえずりによる生息数推定法(song burst法)の検討をおこなった。 晴れ若くは一時曇りの早朝午前3時45分頃に調査地に行き、さえずり個体の初認(午前4時過ぎ)3分後から調査地全体をカバーするルートを15-20分かけて足早に移動しつつさえずり個体の位置と数を記録し、オス生息数を推定した。これらを季節を変え、各調査行あたり3-4回(日数でもある)行った。なお各調査毎について、調査者はオス生息数を事前には知らされていない。この調査の結果、song burst法により、晴れた日には、通常、なわばりオスの90-100%の個体を検出できることが判った。 song burst法により生息数が高い精度で求められることが判ったが、その値を2倍した数(成鳥生息推定数)と、従来行われているラインセンサス法による観察記録数との関係を上記とは異なる場所で検討したところ、調査回数を繰り返して得た後者の平均値は前者の約3分の1であることが判った。 2)オガサワラカワラヒワの生息密度評価法の検討は、天候その他の事情により、今回は主に文献調査に依存せぜるを得なかった。しかしその調査の結果、母島属島の調査を集中的に行う必要のあることが鮮明になった。
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